育毛剤について思う

私が最初に就職した理容店では、横と後ろにしか髪の毛が残っていない年配のお客さんが何年にも渡り育毛剤を使われていました。
薬剤の色が黄色なので、シャンプーをすると泡が黄ばむくらい大量に塗布されていました。
そんなお客さんが店長に向かって
お客さま「何年も使っているけど、全然生えてけーへんな」
店長「何言うてますねんな。使ってたから今、それだけ残っているんですよ」
一見、微笑ましい光景のようにも見えますが、実際は詭弁でしかない。
なるほど、「育毛」剤であって「発毛」ではない。
育毛剤の説明書を読むと、髪を健やかに育てますなどと書かれています。生えますとは書いていません。
しかし、あの夢いっぱいのテレビコマーシャルなどを見ると、薄毛に悩む人にとっては希望の光に見えることは、想像に難くない。また抜け毛を減らしますとうたっているが、本当に抜け毛が減ったのかどうか、比較のしようもありません。
こんな効果に疑問符のつくものを長年にわたり化粧品メーカーなどが販売を続けています。
もし本当に目覚ましい効果があるのなら、もっと話題になってしかるべきですが、どうしたわけか「毛が生えた!すげえ!」というような話はついぞ聞いたことがありません。
お客様の中にも育毛剤を併用されている方が少なからずいらっしゃいますが、顕著な改善を目の当たりにしたことはありません。
長年髪にまつわる仕事をしている私ですら目撃できない改善例を、普通の人が知ることなどあるのでしょうか。
ですが、育毛剤を使うことを否定するつもりはありません。
万に一つ、顕著な改善例が見られるかもしれませんし、育毛剤の効能書きを信じ、それを頭皮に塗布することにより心の安定が得られるのであれば、使う意義もあると言えるでしょう。
そういえば最近「XXXXX(本社検閲済)」とかいう悩みが無くなりそうな話をあまり聞きませんね。
京都店 川北