※画像はイメージであり、実在しません。
かつらを作るにあたり何から始まるか、皆さまご存じでしょうか。まず、お客様のご要望を丁寧に伺うことです。スタイル、毛量、白髪の割合など、細やかなご希望を確認しながら、頭の型取りを行います。
次に、その型の上に分け目やつむじの位置といったデザインの要素を書き込んでいきます。お客様一人ひとりに合わせた設計図を描いていく作業です。
その後、詳細な指示を記入する「オーダーシート」を作成します。内容は多岐にわたり、以下のような項目を含みます:
・ベース素材の種類
・ネットの種類
・希望スタイルの指定
・分け目・つむじ部分の素材と位置
・ベースへの素材配置を示した図
・毛髪の種類と全体の毛量指定
・部分的な毛量調整とその配置図
・毛色の指定
・植毛方法
・髪の長さやカールの強さ
・白髪の量と分布範囲
・その他、特殊なご要望の図示
これらを踏まえて、最善の形になるよう慎重にオーダーシートをまとめていきますが、中でも特に気を遣うのが「毛量の設定」です。多すぎても不自然ですし、少なすぎても寂しく見えてしまいます。多い場合はスキ鋏で毛量調整ができますが、絶妙な量の植毛がなされたものの方がやはり自然です。
リピーターのお客様であれば、過去のデータをもとに調整が可能ですが、ご新規のお客様の場合は状況が少し異なります。
新規のお客様には大きく二種類おられます。一つは、すでに他社製品をご使用中の方。もう一つは、今回が人生で初めてのかつらという方です。
他社製品をご使用中の方は、実物を拝見しながら「ここが気になる」「もっとこうしたい」といったお話を伺い、改善の方向性を見出すことができます。一方、まったく初めての方の場合、髪の量や毛質の選定をどうすべきか、私自身、頭を抱えることもよくあります。
その際は、これまでに納品してきた製品の毛量や仕上がりの質感を思い出しながら、似たような事例を参考にしつつ、最も自然に見える形を導き出していきます。
つまり、何が申し上げたいかと言いますと──
私たちは、ただかつらの毛を切っているだけではなく、
一つひとつを丁寧にデザインしているということです。
結構神経使ってるんですよ。
京都店 川北