第9回:かつら事業者の高齢化

Market Report Vol.09

市場の展望-第9回

 かつらの販売を担う一経営者として、業界の「過去の経緯」「現在の状態」「これからの市場の展望」 について、私自身の抱く希望や危機感も含めて、思うところを徒然に書いてみたいと思います。
これは、社長の思いであり、我が社の経営環境、経営理念、経営目標の再確認でもあります。

代表取締役 島田広夫

かつら事業者の高齢化

かつら業界で経営者の高齢化による小規模専門店の閉鎖が加速してるようです。
四国内に於いて5店舗が閉鎖、又は休業状態にあります。
長野県、群馬県、栃木県では個人経営店の休、廃業、また後継者問題から廃業にむけて準備が進んでいるようです。
最近、40年間営業をしてきた長野県内のかつら専門店の経営者に直接、話を聞きました。
今、65歳になり、広告を打ったり理容業界に販促をするつもりは無いとはっきりと言っていました。
東海、北陸エリアも同様に各県内の個人経営者から撤退のご相談を受ける事がありました。
北関東エリアではお客様から直接相談をされたことが幾つかありました。
それは、いつもの専門店と突然に連絡がとれなくり非常に困っているとの事。

今後、個人専門店の減少はお客様が大変お困りになるに違いありません。
また後継者がいる場合でも、後継者に新しい技術や販売技術の教育をどうすればいいのか。広告費用、宣伝ノウハウ、お客様へセールス・トーク等の教育機会がありません。 また、総じて現経営者の平均年齢は65歳~72歳ぐらい。新規専門店が開業したとの報告もありません。
これらは担当者が営業の訪問をした結果です。

ビジネス・モデルその報告と結果

廉価版かつらの販売ですが2011年、心斎橋スタジオをオープンいたしました。
販売価格はオーダー価格5万円から8万円。
オシャレ用メンズウイッグ価格、6000円~12000円。規格品。
ターゲットは20代~30代そしてホーム・パーティ用として。
ホームページを立上げ、インターネットと新聞広告でおこないましたが結果は思いどうりにはいきませんでした。
原因は判りませんが、お問い合わせの数が非常に少なく、採算性がとれませんでした。
規格品ということ、身近な場所にスタジオが無いことによりアフターケアに不安を感じておられるのかもしれません。
ただ、ホームページからのお問い合わせは少しずつ続いています。

また同時に営業担当者が理容・美容室を1店、1店を訪問営業を実施しました。
販売価格はオーダー12万円~18万円。
販促はポスターの配布、型どり、取り付け、すべて当社がおこなう。
重点エリアは滋賀県、兵庫県、奈良県など過去に販売実績の大きかった地域を選び、2年間3000店以上の訪問を行いましたが、これも思ったようには効果は有りませんでした。 経営者の高齢化と理容業界の環境の変化などによる、業容拡大に対しての意欲不足によるものと思われます。
2015年4月、それぞれ撤退を決意しました。

2015.10.24 つづく