第1回:日本市場と業界環境について

Market Report Vol.01

市場の展望-第1回

 かつらの販売を担う一経営者として、業界の「過去の経緯」「現在の状態」「これからの市場の展望」 について、私自身の抱く希望や危機感も含めて、思うところを徒然に書いてみたいと思います。
これは、社長の思いであり、我が社の経営環境、経営理念、経営目標の再確認でもあります。

代表取締役 島田広夫

日本市場と業界環境について

 現在、国内の男性ウイッグの小売業者にアートネイチャーとアデランス、プロピア等、全国に主だった10社程度と、 その他、個人経営の、零細業者が全国におよそ、100社程度、存在すると推定されています。
(ただし、かつらの紹介理容店は含んでいません。)

成長の過程

 男性ウイッグが国内に普及を始まったのは、およそ1960年頃からといわれています。
本格的普及は、1965年頃から、東京の アデランス、アートネイチャー、大阪のポワル・シェードューブルの大手3社が、 新聞媒体広告を利用し、大都市を中心に販売促進がすすめられました。
1975~1980年頃には理・美容業界に於いても、パーマ技術、アイロンパーマ等、高単価技術により、 潤っていました。パンチパーマが代表格です。
この頃、国民の年齢別人口比率は団塊世代が30歳から40歳代、まさに男性用ウィッグの需要層です。
また、まるで申し合わせたように若者用ですが男性用顔化粧品が発売されました。
男性がオシャレをすることに抵抗が無くなりつつありました。 近い将来、間違いなく新たなマーケットが出現を予感させるに十分なデーターでありました。
この頃のウイッグの販売価格は1枚、30万円~50万円、年々価格は年々上昇してきました。

全国に出店競争

 1970年の後半になると、バブル経済と共に大手各社は激しい出店競争に入り、急増した理容師、 営業社員がしっかりと、教育をされないままに店長として派遣され、人材不足はもちろん、モラルの低下、 社内店舗別のノルマ、個人にもノルマと悪循環が始まります。
例えば、A顧客には30万円で販売しB顧客には60万円、C顧客には80万円にて販売、もちろん製品に、 そんな価格差があるわけはありませんが個人のノルマ達成の手段になりました。
さらに1975年頃より1990年にかけて、各社の技術者が顧客リストの持ち出しや、売上金の着服など、 事件が多発、又、社員が顧客を連れて独立などが相次ぎました。
これらは、社員教育不足と製品1枚の、あまりの利益の大きさに目を奪われた結果と想像されます。

2008.10.10 つづく